この日は、疲れきった遺族の方々が、まだ出合わない遺体をさがすため、バスで会場に着かれ、自由に不明のご遺体と対面される日であった。
警察官も医師の方々も、この会場には数えるほどしか見あたらず、遺族の方々が泣きながら必死で柩の蓋を開けられるのを手伝った。
蓋を開けるなり「この手、娘に似ているんです」「すみません、これ、血液型は何型ですか」「あの―、教えてください。あそこの足とよく似た足を見かけませんでしたか。もう片方があれば…‥。お父さんには足くびのところに大きなキズがあるはずなんです」「お願いです。この髪の毛、この写真と似ていませんか。先生、この人の顔はどこにあるんですか」
私は、どの質問にも答えがみつからなかった。

流石に涙が出そうになった。あれから20年かぁ。
結構覚えてるけどとてつもない位酷いものだったんだな・・・。